【この記事をざっくりまとめると・・・】
①適用除外事業者の制度が平成31年4月1日以後開始事業年度から適用開始
②適用除外事業者に該当すると適用できなくなる租税措置がある
③過去3年以内の事業年度の平均所得が15億円超の場合に該当する
こんにちわのり
9月決算会社の決算・申告がおちついてきてモンハンライフを楽しんでいるわのりです。
最近、いわゆる中小企業規模のクライアントさんと関わることが増えてきたのですが、
そういえばそろそろ平成29年度税制改正の「適用除外事業者」の適用が始まる頃だなぁ、とふと思ったので、自分の備忘という意味合いも含め、「適用除外事業者」について整理してみます。
適用除外事業者とは?
中小企業者には税務メリットがある特例が使えるが・・・
まずは「適用除外事業者」とは?
というところから入ろうと思ったのですが、その前に今一度確認しておくことがあります。
それが中小企業者等にのみ適用される租税特別措置について。
資本金または出資金の額が1億円以下等の要件を満たす法人、いわゆる中小企業者等に該当する場合、税金の計算上で有利になる特例を適用することができます。
(中小企業者等の細かい判定は今回省略します。)
この特例を「租税特別措置」(以下特例と略します)と言います。
全部をあげるとキリがないので代表的なものを挙げると、「中小企業者等の法人税率の特例」などがあります。(この特例は通常法人税率が23.2%のところ、所得800万円までの部分については軽減税率として税率が15%になるというもの)
適用外事業者とは
このように納税者が有利になる特例があるのですが、
「適用除外事業者」に該当するとこれらの特例うち一部の適用を受けることができなくなります。
つまり端的に言うと、今まで中小企業者等に該当して特例の適用を受けていた会社が「適用除外事業者」となった場合、一部の特例の適用ができなくなり納税額が大きく増える可能性があります。
この「適用除外事業者」制度については平成31年4月1日以後に開始する事業年度から開始するので、(事業年度の短縮などをしている会社を除くと)おそらく3月決算会社の2020年3月期決算が最初の適用対象となりますね。
適用ができなくなる主な租税特別措置
次に「適用除外事業者」に該当した場合に適用ができなくなる特例を見てみましょう。
適用ができなくなる主な特例は以下の通りです。
多くの会社で適用しているものとしては上3つあたりでしょうか?
うち、「貸倒引当金」と「少額減価償却資産」については納税額を直接的に減らすものではない(長期目線で見るとあくまで「課税の繰り延べ」のため)ですが、1つ目の「中小企業者等の法人税率の特例」は納税額へ直接インパクトする(=納税額が増える)のでかなりの痛手となりますね。
そのほか、設備投資を頻繁に行う会社などでは「経営力向上設備の特別控除」などは税額的にかなり大きなインパクトが生じる(=納税額が増える)かと思います。
適用除外事業者の判定
ここまでで「適用除外事業者」の概要とその影響を説明をしてきましたが、
名前
じゃあ、どんな会社が「適用除外事業者」に該当するの?
とうことで最後に「適用除外事業者」の判定方法を説明します。
結論を先にお伝えすると、
「判定をする事業年度の開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の合計額を、合計対象とした事業年度の合計月数で除して12を乗じた金額が15億円を超える法人」
が「適用除外事業者」に該当します。
文字だと解り難いので簡単に図解します。
上の図の事例だと赤色部分の平均所得が15億円を超えると「適用除外事業者」に該当します。
※追記
上記画像の「×3」は「×12」の誤りでした。当該追記にて訂正致します。
合併があった場合や外国法人の場合は、判定を行う上で一部調整計算を行う必要がある場合があるので顧問の税理士に要確認しましょう。
まとめ
なんかどんどん中小企業者等の判定が複雑に・・・
一応、国税庁で「適用除外事業者」の判定表なるものが公表されているので、こちらも利用されても良いかと思います。
(個人的にはちょっとわかりづらい・・・。)
すでに施行されている制度なので文句を言っても仕方ないですが、もっと簡素化できないかなぁ・・・と思いますね。。。
ではでは〜
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若手税理士(30は若手なのか・・・?)のわのりが運営する雑記ブログ。
主に個人的に気になった税務論点や、趣味のゲーム・旅行・ガジェット・ロードバイクの情報を発信中。