役員退職金の打ち切り支給とは?退職前に支給するための要件

役員退職金の打ち切り支給とは?退職前に支給するための要件
 
こんにちは。現代っ子税理士のわのりです。
 
 
以前、役員退職金の支給に関して法務面と税務面から解説した記事を書きました。
 
↓過去記事はこちら
 
 
そんな中、たまたま私の本業関係で役員退職金の打ち切り支給という、少しレアなケースの話題が上がったので、今回はこちらについて解説したいと思います。
 
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役員退職金の打ち切り支給って?

 
退職金というものは読んで字の如く、基本的には退職時に支給される金銭のことを言います。
 
しかしながら、会社によっては定年後も継続雇用する従業員に対し定年時に支給する場合など、まだ会社に在籍している従業員に退職金を支給する事があります。
 
このことを「退職金の打ち切り支給」と言います。
 
今回は「役員の退職金」の打ち切り支給につき、税務的な側面から解説します。
 
 

「打ち切り支給」が認められる要件

 
原則、打ち切り支給した役員退職金は損金として認められませんが、次の様な場合にはその支給額を損金算入する事が出来ます。
 
  • 常勤役員が非常勤役員に分掌変更された場合
  • 取締役が監査役に分掌変更された場合
  • 分掌変更により報酬が大幅に減少(1/2以下)になった
 
要するに、引き続き在籍しているが実質的に退職したと同等の事由がある場合には、その支給額を退職金と認め損金算入する事が出来るという事です。(法人税法基本通達9-2-23)
 
 

分掌変更後も経営上主要な地位にある場合は認められない

 
前項で退職金の打ち切り支給が認められる要件を記載しましたが、分掌変更後においても経営上主要な地位にある場合には退職金として認められません。
 
 
これは、分掌変更前に報酬額を大幅に増額しておくなどして前項の損金算入要件を満たす様にし、利益調整目的で退職金の打ち切り支給制度を利用する事を防ぐためです。
 
 
ですので、実質的に退職した事実を確立するため、上記要件のほか、分掌変更により経営層から外れた旨を取引先に通知するなど、客観的にみても退職と同等の分掌変更があった事を証明する必要があります
 
 
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未払計上による損金算入は認められない

 
過去の記事でも解説した通り、役員退職金の損金算入時期は「株主総会等による支給決議日」または「実際の支給日」から選択適用する事が出来ます。
 
ここで「株主総会等による支給決議日」とする場合には、実際には支給は行われていないため、未払計上による損金算入が認められていることになります。
 
 
しかしながら、打ち切り支給の場合には未払計上による損金算入は認められていないため、損金算入を行いたい事業年度を選択するには、その事業年度に実際に支給する必要があります。
 
そのため、損金算入事業年度の選択時に資金繰りも考慮する必要がある点に注意が必要です。
 
 

退職金として認められなかった場合「役員賞与」となる

 
役員退職金の打ち切り支給をした際、退職金として認められなかった場合には「役員賞与」として取り扱われる事となります。
 
「役員賞与」は税務上全額損金不算入となるため、直接税負担額に影響を与えます。
 
 
また、支給を受ける役員側としては「退職所得」ではなく「給与所得」として扱われるため、税負担が軽減される退職所得と比べ税負担が増加する事になります。
 
 
つまり、退職金として認められなかった場合は法人・個人の両側面で税負担が増加してしまうため注意しましょう。
 
 

まとめ

 
役員退職金の打ち切り支給については、退職金として認められなかった場合、相応のリスクが伴うため注意が必要です。
 
実際に支給を検討する際には、今回の記事の内容を基礎として、顧問税理士の方と退職金として認められるための要件整備を必ず行う様にしましょう。
 
 
以前の記事にも記載した通り、役員退職金は高額のことが多く、その分税金への影響額も大きいものとなります。
 
片手間に支給手続きを行わず、万全の準備のうえ支給することが望ましいです。
 
 
 
 
当該記事は執筆時点の法規に基づき書かれたものです。改正等により内容が変更になっている場合がありますので、その旨ご留意ください。
 
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